写真を撮ると記憶が薄れるは嘘?むしろより楽しい経験になる


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海外の友人から「なんで日本人は何でもかんでも写真を撮りたがるの?」とよく聞かれます。日本人に限ったことではないと思いますが、レストランや観光地、街中で一瞬も逃すまいと一眼レフを構えている日本人を見ると、そう思わざるを得ないのでしょう。

その理由の一つに「写真を撮ると記憶に残らない」という考え方があると思います。せっかく観光しているのに見ているのは、ほとんどレンズを通してみた景色。確かにもったいないですよね。

実は写真を撮ることで記憶が薄れてしまうというのは、アメリカの心理学者Linda Henkelの実験でもわかっており、「写真撮影減殺効果」と呼ばれています。その場にしかない空気感を味わうべきなのかもしれません。

By: Thomas8047
By: Thomas8047

しかし、最近発表された心理学者が行った実験結果によると、「写真を撮るほうが、より楽しい経験が得られる」そうです。

 

写真はより楽しい経験を与える

By: leah fowler
By: leah fowler

実験を行ったのは南カリフォルニア大学、イエール大学、ペンシルバニア大学の心理学者ら。

彼らは9つの実験を通して2000人の参加者らを対象に、写真をとることによる、観光や見学などの活動の楽しさへの影響が調査しました。

それぞれの実験で参加者らは、バスツアーやフードコートで食事をするなど、一つの活動に参加してもらいます。その時、二つのグループに分けられます。”写真を撮るグループ”と”撮らないグループ”です。

それぞれのアクティビティの後、参加者らはには「活動の楽しさ」「活動への参加度」を測定するためのアンケートに答えてもらいました。

すると、ほとんどの場合、アクティビティの中で写真を撮るように指示された人たちは、より活動を楽しむことができたそうです。

さらに、一般的に写真を撮ることに集中すると、活動への参加度は落ちるように考えられますが、この実験では写真を撮る人ほどアクティビティに積極的に参加できたそうです。

 

作品の細部に目を向けられる

By: Justin Jensen
By: Justin Jensen

他の実験では参加者らに、目の動きを追跡する機能が付いている特殊な眼鏡をつけてミュージアムのツアーに参加してもらいました。

研究者が発見したことは、写真を撮るグループでは、美術館内の芸術作品を目で調べる時間が、写真を撮らなかったグループに比べて長かったそうです。

私たちは、初めて見るものすべてに興味を示すことはできません。自分の関心のある物事にだけ目が行くようにできています。そこでカメラというツールを使うことで、関心のないことにも注意を向けることができます。

また初めて見たものから、その魅力の全てを知るというのは難しく、芸術作品にしろ小説にしろ、何度も見返したり読み返したりすることで、作品の魅力を十分に味わうことができたり、今まで見たことのない部分を発見できます。

それを手助けしてくれるツールがカメラなのかもしれません。

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カメラは楽しい経験を得るツール

By: Sébastien Launay

実験では、写真をとることがポジティブに働かない例もありました。

参加者らがすでにアクティビティに積極的に参加している場合です。すでに知っていることをカメラで撮ることは、楽しい経験をする上で邪魔なものになってしまうようです。

初めて行く観光地であれば、写真をとることは、新たな興味を発見するために役立つかもしれませんが、もうすでに慣れている土地であれば、その場所、空間をじっくり味わうべきだということです。

そういう観点からいうと、日本人が初めて行く観光地でたくさんの写真をとるという行為は間違っていないのかもしれません。

By: Kevin Dooley
By: Kevin Dooley

しかし、ただ何の意図もなく撮った写真は、結局二度と見ないことが多いですよね。特に顔見知りの人と、行き慣れた場所で撮る写真なんて絶対に見返しません。

この場合には最初に紹介した「写真撮影減殺効果」が働いています。漢字の羅列で難しく見えますが、簡単に言うと写真に収めるとその記憶は薄れてしまうということです。

これは写真を撮ることが目的化している場合に起こります。

ですから、美術館に行った時に、目の前の作品に何の興味もなく、友達に自慢するために取るという行為は、記憶を薄れさせることにつながります。

美術館では、作品に興味が持てたら、あとは自分の目でその魅力を探る。カメラはその前の段階。つまりそれが興味を持つに値する作品かを見分けるのに役立つということ。

By: Jean-Pierre Dalbéra

美術作品は実物を自分の目で見るから価値があります。作者がなぜこの大きさで描いたのか、具材の使われ方、質感など、生で見なければわかりませんし、そこに作者の意図が隠れています。

カメラを構え、興味のそそられる作品が見つかったら、カメラはカバンにしまって、じっくりその作品の世界観にどっぷりと浸かってみましょう。

きっとその感動はいつまでも胸に残ります。

By: jessicahtam
By: jessicahtam

 

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