低い声のトーンは支配力、影響力を高める。


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対人コミュニケーションのうち、言葉によって伝わる内容が全体の35%。残りの65%は非言語コミュニケーションで、話し方、動作、表情、ジェスチャーによるものだと言われています。

私たちは話の内容は意外と聞いていないもので、それ以外の部分からの情報を組み合わせることで、脳内で自分なりの解釈をしているということです。

裏を返せば、言葉では伝えることが難しくても、感情に訴えかけるような話し方、表情ができれば、自分の思いを伝えられるということです。

人前で話す時はどうしても緊張してしまうものですが、何か強い思いがあり、自分の思いを伝えたいのであれば、論理的に相手を納得させるよりも、感情に訴えるような話し方をした方が伝わるのかもしれません。

また、アメリカの心理学者が行った最新の研究によると、非言語コミュニケーションの一つである「声のトーン」は話し手の支配力、影響力に大きく影響するそうです。

 

声が低いだけで影響力が強いと思われる

By: peter castleton

実験を行ったのはイリノイ大学心理学科のDr. Joey Cheng氏ら。ブリティッシュ・コロンビアとハーバード大学と共同で行われました。

彼らは”声のトーン”の高さによって、相手に与える印象がどう変化するのかを2つの実験で調査しました。

それによると「声のトーンが低い人ほど、支配力があり、影響力があると評価される」ことが分かったそうです。

1つ目の実験では17歳〜52歳の男女191人に協力してもらいました。彼らには、月の上での災害で生き残るために必要な、15のアイテムをランク付けしてもらいました。

(ちなみにこの「月の上で災害に遭う」という内容は実験に関してまったく関係なく、声のトーンを調べるための、ただの作り話です。)

次に小さなグループを作り、先ほどと同じ課題をさせ、それぞれグループごとに15のアイテムをランク付けしてもらいました。

この時、ビデオ撮影がされ、音声認識ソフトを使い、発言ごとの声の周波数が測定されました。さらに影響力を調査するために、グループで出された答えが、どのように収束するか分析されます。

すると、発言の中の一文目から三文目にかけて、声のトーンが下がる人ほど支配力があり、影響力が強かったそうです。つまり、発言の中で声のトーンが下がる人の意見が、グループの回答に強く影響を与えたということです。

By: Jörg Schreier

これは参加者らの評価からも、第三者からの評価からでもこの傾向が見られました。

また、発言の中で声のトーンが上がる人は、逆に支配力、影響力ともに弱いと評価されました。

よくテレビの討論番組で、熱くなってしまう識者の方々が、話の内容を理解されず、ただ”熱くなっていた人”と評価されてしまうのは、このためでしょう。

しかし、支配力のみがあると評価された場合、恐怖や脅迫と結びつけられるため、聞き手から尊敬されることが難しくなるそう。

確かに、いくら話が上手くて、その内容が理にかなっていたとしても、人間性がない人には着いていきたいと思う人は少ないですからね。

By: Kevin Dooley
By: Kevin Dooley

2つ目の実験では、研究者らは274人の参加者に、二つの音声ファイルを聞かせました。二つとも内容、話し手は同じですが、声のトーンが異なり機械で操作されており、話の最初から最後にかけて徐々にトーンが上がるものと、下がるものが用意されました。

すると、先ほどの実験と同じように、声のトーンが下がるものほど「影響力」「発言力」「威圧的」「支配的」と評価されたそうです。

自分の周りにいる声の低い人で「仕事ができそう」「発言力がありそう」という印象の方は多いのではないのでしょうか?

プレゼンなどでは低い声で話しているだけで落ち着いている印象を与えることができますし、声の低さには多くのメリットがあります。

しかし、こちらも同様に、支配的な人を尊敬したいと思う人は少なかったそうです。

この結果にJoey Cheng氏は次のようにコメント
「支配力も影響力も相手を説得させる非常に効果的な力である。しかし、ただ支配的というのは恐怖や脅迫につながる。声のトーンを変えることで支配的な発言ができるかもしれないが、それは”尊敬されること”とは関係ない。」

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一旦落ち着いて話そう

By: Pawel Loj
By: Pawel Loj

プレゼンテーション、会議、討論、はたまた喧嘩など日常では、相手を自分の意見に納得させたり、相手の意見を否定しなければならない時が多々あります。

状況によっては、自分の意見が正しい可能性が高いと、ついつい熱くなってしまうものですよね。

そんな時は、自分の考えに自信が持てているなら、相手の挑発や議論の波に乗るのではなく、一旦冷静になることを意識しましょう。

声のトーン、話すスピードを落としてその場での影響力、支配力を高めましょう。

「そんなことをしたら自分の発言回数が減り、相手の意見が通ってしまう」と思う方もいるかもしれません。しかし実は逆。発言回数で議論が決定するわけではありません。

テレビの討論番組を見てみれば分かりますが、結局熱い議論を交わしても、結果残るのは印象だけ。それも悪い印象。

その重要な内容というのはほとんど視聴者には届きませんし、出演者らも自分のプライドのために戦っているという状態です。

By: Nathan Forget
By: Nathan Forget

会社の会議であれば、議論が白熱しているということは、そこでの判断は誤った方向に進む可能性が高いく、その場で決定がなされる可能性は低い。結論が出るとすれば、話が落ち着いた頃です。

そのタイミングをしたたかに狙うんです。

先ほどの研究では、発言の第一文目から第三文目にかけて声のトーンを落としていくことによって、支配力、影響力を高められたということがわかっています。そして声を低くするだけでも、影響力を強めることができます。

最初は泳がせておいて、時が来たら一気に攻める。

それも冷静に。

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